佐賀ならではの時間や空間の楽しみ方など、通りいっぺんの観光では味わえない濃い深い情報満載です!  PR隊長のはなわさんや優木まおみさんがディープな佐賀へと誘います。

SAGA MAGA

メニュー

 梅雨も明け、本格的な夏の到来で寝苦しい夜を過ごすことも増えてきた。佐賀の人は、暑さ以外でふと目が覚めることが時にある。


増田英治(ネイチャー佐賀事務局長、自然保護監視委員)さん

そのワケは? 
地響きのような「ウシガエル」の「モォ~」という鳴き声。深夜に響き渡るホラー的状況は、佐賀の人なら体験したことがあるのでは。
今回は、ウシガエルについて、水辺に棲む生物や植物に詳しいネイチャー佐賀の増田英治さんに話を聞いてみた。


Q:そもそもウシガエルってどんなカエルですか?


 「鳴き声が牛みたいだからウシガエルと言うのですが、これ、正式な和名なんですよ。英語名もbullfrog=牛のカエルという意味なんですよ。夜行性で、夜中にけっこう「モォー、モォー」と鳴くので、怪奇現象みたいな印象でしょう。カエルの仲間では大きさも鳴き声も一番大きく、普段は池や葦などに隠れています。そして時々顔を出して様子を伺います。私はウシガエルを捕まえたことがありますが、慎重な性格なので、人を見るとまず隠れます。池で「チャポン」とがするときは大体ウシガエルですよ。鳴き声は聞いたことがあっても、全体の姿は見たことがないという方の方が多いと思いますよ」

Q:サイズはどれくらいなんですか?

 「お尻から頭までの長さは20㎝よりちょっと小さいくらいで、捕まえてぶら下げて足を伸ばしたら、30㎝くらいになります。色は、土色というか、泥色に近いです。図鑑では緑っぽい色をしています。カメレオンみたいに、周りの色に同化する習性があるようです。ウシガエルも他のカエルと同様、おたまじゃくしから成長していきます」

Q:ウシガエルは佐賀生まれなんですか?

 「いいえ、違います。明治時代に、海外から入ってきて、日本で飼育して、ヨーロッパへ輸出していたそうです。ヨーロッパでは、料理してカエルを食べますから。戦後の食糧難の時代には蛋白源として、食べられていました。だからウシガエルのことを別名、食用ガエルとも言いますよね。肉質は”鶏のささみ”のようだといいますが、私は食したことがありません。子供のころは、ウシガエルを釣って大人の人に売ってお小遣いにしていました。昭和30~40年代は、ウシガエル、佐賀でも食べていたのではないでしょうか」

Q:なぜ佐賀にはウシガエルが多いのですか?

 「ウシガエルは日本全国に分布している生物です。特に佐賀が多いと言われる所以は、佐賀平野の環境によるものと考えられます。

水辺に棲むウシガエルにとっては、緩やかに水が流れるところや、流れのない池、クリークなど、水を溜めておく場所がたくさんある佐賀平野はうってつけの場所と言えます。そこにはカエルの餌となる生き物がたくさんいて、隠れるための草も生えています。こういったことから佐賀平野にウシガエルが多いというのは頷けますね」


流れが緩やかな水路


Q:やはり、ウシガエルの鳴き声は、佐賀の夏の風物詩といえますね?


 「一昨年、佐賀の音百景というコンテストの審査員をさせてもらいました。その時に、私はウシガエルの鳴き声を選びましたよ。推薦票も多くありましたので、佐賀の人にとっては、”ウシガエル=佐賀の夏”なのかもしれません。
 といっても、ウシガエルは、外来生物の中でも特定外来生物に指定されています。自然環境の生態系に大きな影響を及ぼす外来生物なので、勝手によそに運んではいけないという規制があります。食用ガエルと言いながらも、店で食べることができません。飼育するにも、環境省への許可申請が必要です」

 声はすれど、姿をなかなか見ることができないウシガエル。これからも、「鳴き声」を通して、ウシガエルの存在を認識し、佐賀の夏を満喫するとしよう。子守唄がわりにぐっすり寝つくことができれば、あなたも佐賀んもん。