佐賀ならではの時間や空間の楽しみ方など、通りいっぺんの観光では味わえない濃い深い情報満載です!  PR隊長のはなわさんや優木まおみさんがディープな佐賀へと誘います。

SAGA MAGA

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2016.03.20

創刊記念インタビュー

幼少時、ブルートレインで佐賀に行っていました。
緑あふれる木々にセミの大合唱。
僕にとっては「夏休み=佐賀」
夢の場所に行くような気分でした。


佐賀とゆかりのある声楽家の吉武大地さんが、3人目の佐賀市プロモーション大使に就任。現在、コンサートやオペラなど幅広く活動している吉武さんは、第二のふるさとでもある佐賀の民謡を歌い継いでいる。吉武さんが思う「佐賀」を存分に語ってもらった。


佐賀とのつながりは?

 佐賀工業高校の近くにある多布施川付近の緑小路というところに父の実家があり、祖父と祖母が住んでいました。祖父は僕が2、3歳の頃に亡くなったのですが、僕の名前「大地」は祖父が名付けてくれました。大地のように広い心を持った人間になるようにとの願いが込められているそうです。今思えば、祖父は生涯佐賀で生きていましたから、佐賀の緑多い景色をイメージしてつけてくれたのかもしれないですね。
 祖父は学校の先生をしていて、勧興小学校の校章をつくったという話も聞いています。「すごく怖い先生だったよ」と教え子だった方から話を聞きました。父は、生まれてから高校まで佐賀で過ごし、その後大学進学を機に東京へ行きました。画家をしているのですが、祖母が亡くなった後、ふるさとの緑小路をモチーフにした作品も描いています。

幼少時代の佐賀での思い出は?

 幼少の頃は、毎年、夏休みになるとブルートレイン(さくら号)に乗って佐賀に行っていました。東京駅を18時30分頃に出発して、翌日の昼前ぐらいに着くんですが、列車での旅は、お隣の寝台で一緒になった家族との出会いもあり、とても楽しかったです。僕にとっての「佐賀」は、夏休みに行ける夢の場所でした。夏の緑小路は緑がいっぱいで、多布施川沿いの木々の中からセミが「ワシワシワシ」と大合唱していたのを鮮明に覚えています。セミをとったり、川ではタニシなどを小さい網でとっていました。
 祖母はすごく優しい人で、会えるのが楽しみでした。家の近くにあったお店は、確か寿屋でしたよね? 祖母と手を繋いで寿屋へ行くと、年に一回だからと好きなものを何でも買ってくれました。普通のスーパーみたいな感じでしたけど、子ども向けのおもちゃもありました。今はもうないんですね。僕にとっての夏は「佐賀」でした。関東に帰る時は「夏が終わる」といった感じで、すごく淋しかったです。

佐賀の街なかへも出かけましたか?

 街なかへも祖母に連れられて出かけていましたよ。ラーメンの「一休軒」はよく行っていました。今は、商店街のほうがちょっと寂しくなりましたけど、昔はすごく賑やかでしたよね。神社の近くには映画館もありました。スタジオジブリの「となりのトトロ」や「紅の豚」は佐賀で見た記憶があります。今はその映画館もないんですね。街の景色は変わりましたね。

音楽の面で佐賀にインスパイアされたことは?

 佐賀の民謡に興味があり、コンサートでも佐賀の民謡を歌ったりしています。佐賀の民謡はすごくコミカルでユーモアがあって、感性や表現にすごく憧れを持っています。「岳の新太郎さん」は、新太郎さんが山から下りてくるときに、お姉さま方が彼の顔をできるだけ長く見るために、道に水をまいて時間を稼いだり、色んな工夫をするという歌詞が面白いですし、「おりきんばっちゃん」や「菱売りの歌」も女性が主人公になっていて、佐賀の女性のパワーを感じます。幼少時代、佐賀で過ごした時間は、音楽の面でも影響を受けていると思います。こういう素敵な田舎、ふるさとがあるのは僕の財産です。
 今度一緒にコンサートをやる宇都宮君は、佐賀出身で芸大の同期です。熱気球の世界大会のこととか、佐賀話でものすごく盛り上がりました。僕が作った曲「FLY HIGH」は、まさに、気球が空に舞う様子を思い浮かべながらつくりました。気球が空を舞うように志を高く持とうというメッセージが込められています。7月にリリースしますので聴いてくださいね。今年のバルーンフェスタには、佐賀にぜひ戻ってきたいです。実はね、高所恐怖症ですけど気球には乗ってみたいです。

プロモーション大使として伝えていきたいことは?

 今回、佐賀市のプロモーション大使に任命していただいて、大変光栄です。佐賀には、温泉、山、川、海、晩秋には真っ赤になる海岸や巨石パークもありますね。温泉にも入って、古湯温泉にも入りたいです。車で20分で海に行けたり、山や温泉に行けたりというのは、佐賀の魅力の一つですね。他の人にはあまり知られていない佐賀を、僕が住んでいる関東から発信することによって、佐賀に興味がない人にも知ってもらえるチャンスがあると思います。自分自身も佐賀の歴史などを勉強して、実際に訪問したり発見したことをツイッターやブログなどで色々と発信していきたいです。
 コンサートでは、佐賀の民謡を歌っています。佐賀に残る民謡「おりきんばっちゃん」という曲は、歌詞の中におばあちゃんとまわりの人たちの関係性が面白く描かれていて、歌の中にも佐賀の良さが表れているんですよ。佐賀の子守唄や童謡もにも広げて、音楽を通じて魅力を知ってもらいたいです。

佐賀でのコンサート情報は?

 4月30日、浪漫座でコンサートを開催します。佐賀の民謡も歌いますし、最近はミュージカルの舞台にも立っていますので、ゲストで来てくれる仲間と一緒にミュージカルソングを歌ったり、ポピュラーな曲や映画の曲など盛り込む予定です。ご家族で楽しんでもらえるようなコンサートになると思いますので、声楽家の母と一緒に親子で歌うところも聞いてもらいたいです。

はなわ

Hanawa

優木まおみ

Yuki Maomi

吉武大地

YOSHITAKE DAICHI

中越典子

Noriko Nakagoshi

宇都宮直高

Utsunomiya Naotaka

吉武大地

PROFILE

吉武大地 YOSHITAKE DAICHI

声楽家(バリトン)。1979年2月28日生まれ。佐賀出身で画家の父・研司さんと、声楽家の母・まつ子さんの下、幼い頃から芸術に触れる環境に育つ。東京藝術大学卒業後、イタリア留学、ミラノ音楽院卒。帰国後、男性ヴォーカルグループ「ESCOLTA(エスコルタ)」でメジャーデビュー。オペラ、ミュージカル、音楽舞踊劇などに出演。2009年青山円形劇場にてソロコンサート「大地の詩」をスタートし、さいたま芸術劇場にて毎年夏に開催。クラシックコンサート「Voce」、小中学生に音楽の素晴らしさを伝える「アウトリーチ・スクールコンサート」、被災地にピアノを届け、音楽空間を創り出すプロジェクト「Rising Sun」などを展開。