佐賀ならではの時間や空間の楽しみ方など、通りいっぺんの観光では味わえない濃い深い情報満載です!  PR隊長のはなわさんや優木まおみさんがディープな佐賀へと誘います。

SAGA MAGA

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vol.1

今号の研究テーマ

民話「ワラスボが鯛に恋をした」

ワラスボの干物。炙って食べたり、酒に入れて「スボ酒」にして飲む

 「これが魚!!化け物じゃないの!!」と東京の友人が初めてワラスボを見て驚きの第一声。
 まえうみ(有明海)には、珍しい魚介類が多く住んでいる。その中でもワラスボに驚くのも無理はないと思う。全身が青灰色や赤紫色で見るからにグロテスクで痩せ細り前歯が強烈に剥き出している。映画「エイリアン」のモデルになったと言われている程で強烈なインパクトを持っている。
 このワラスボも以前は、有明海に住む魚の中でスタイルも良く、カッコいい魚で現代風に言えばイケメンだった。ムツゴロウやクチゾコなど多くの魚が羨むほどであった。ある日、大海(東シナ海)から帰って来た魚がワラスボの所へ駆け寄り「大海には、それはそれは美しい鯛がいます。ワラスボさんのお嫁に最適だ」と促したからさ~あ大変。早速、部下の魚たちを引き連れて、いざ大海へと。
 広い海でやっと見つけた魚こそ、噂通りの美しい鯛でした。ワラスボは、一目惚れし「私の嫁は、この鯛だ」と思い込みました。
 そして直ぐに、鯛の所へ駆け寄り「オイの嫁ゴにナレ」とプロポーズしました。しかし、返って来たのは「あんたのような不細工な魚は大嫌い!!」と言って立ち去りました。
 初めて侮辱されたワラスボは、見る見るうちに全身が赤紫に変化し、歯も剥き出してきました。余りにも激しかったのか元の姿に戻らなってしまい、その場にいた魚たちの笑いものになってしまいました。


スボカキ漁の様子(昭和50年代)

 恥かしくなったワラスボは、有明海に逃げ帰り干潟の中で生活するようになったとか?
 有明海沿岸に伝わる民話を思い出しては、主人公のワラスボを食している。一般的には、刺身や煮つけ日干しなどで味わいますが地域によっては、スリ潰し「モクサイ」にして食べます。以前は、妊婦や子供たちのカルシウムの供給源として珍重されました。こう言う私は、干し物のワラスボを程よく炙りヒレ酒ならぬ「ワラスボ酒」として味わい「ふるさと佐賀」の豊かさと人情を噛み締めている。


ワラスボ:ムツゴロウと並ぶ有明海の珍魚。ハゼの仲間で日本では有明海しか生息していない。内臓や血管が透けて見えるような紫色のヌルヌルしたウナギ状の体と歯がむき出しになった顔は、エイリアンそっくり。

ラボ主任研究員

有明海を撮るカメラマン

北村 和秀

KAZUHIDE KITAMURA

PROFILE

1950年7月16日、佐賀市川副町生まれ。高校卒業後、1969年2月、株式会社サガテレビに入社
最初の配属先は技術で開局の準備に携わった。その後、鳥栖支局・情報センター・福岡支社・報道制作と異動。2004年10月に番組制作会社のSTSプロジェクトへ出向、取締役、常務、2008年に社長を就任。2012年6月に退任。現在、佐賀市道祖元町で妻と二人暮らし。映像カメラマンを目指し、勅使河原和風会でお花を習い、フジテレビなどで照明を勉強、報道写真の狙い方などを教わって40数年。時々、これまでの写真を公開している。性格は、シャイで小粋ではにかみ屋。内気で内股で短足と、良いところなし。それでも頑張る年金生活者。別に職はなく、佐賀県障害者サポートセンターを応援する会会長、NPO法人MOTTINAIプロジェクト理事、(株)オフィスタカハシ取締役相談役など名誉職に就く。