佐賀ならではの時間や空間の楽しみ方など、通りいっぺんの観光では味わえない濃い深い情報満載です! PR隊長のはなわさんや優木まおみさんがディープな佐賀へと誘います。
vol.5
今号の研究テーマ
佐賀県には、日本最古の気象台がある?三養基郡みやき町の綾部神社に伝わる「旗揚げ神事」がそれである。毎年7月15日に行われる綾部神社の神事は、幅1尺、長さ1尺2寸の麻で織った神旗を長さが18mある竹の先につけ、神旗が地上から30メートルの高さになるように、社前の樹齢700年の銀杏の樹に取り付ける。7月15日から9月24日の旗降しの日まで旗のなびき具合を、宮司が毎日朝夕観察・記録し、32通りの巻き方を参考に、風雨の襲来や農作物の豊凶を占う。銀杏の木のてっぺんに吊るした旗の巻き具合で天気を予想するものだ。
場所をまえうみに移すと、有明海沿岸域には、雲の流れや風の方向等でその日の天気予報をする先人たちの知恵・言い伝えがいくつか残っている。漁民の人たちが漁に行く前に、漁港から空を見上げ、雲の動きや風はどこから吹いているかを確認して天候を予測する。まさに現代の予報士の役目を果たしているのだ。
<先人たちの知恵・言い伝えあれこれ>
①朝に東風(こち)、昼に南風(はや)、冬に西風(にし)が吹くと晴天になる
②雲が北西へ行くと、大風や台風の兆し
③南南西の風が吹くと、大風や台風は来ない
④東風(こち)が止まると雨になる
⑤台風は、多良岳から吹いてくるのが最もひどい風になる。
雲と風だけの言い伝えだけ拾ってみても沢山ある。私の記憶だと平成三年に、多良岳から佐賀市を通って鳥栖方面に抜けた台風は、言い伝え通り、大きな勢力を持ち、通過した地域の屋根と云う屋根の瓦を吹き飛ばし、大きな被害を出したのである。また、有明海沿岸域では、高潮が干拓の堤防を越えて農作物に被害を与え、この年は不作となる。
先人たちの言い伝えでも分かるように、風に対しての警戒心が強かったことを物語っている。その他に、有明海の漁からもある。
ウミタケが立つと(豊漁)水害・台風に見舞われる。また逆に、
山のタケノコが豊作だとウミタケは不漁になるとの言い伝えもある。
以前この事について、お年寄りに訊ねた事がある。
お年寄り曰く「山の栄養分がタケノコに吸い取られ、川から有明海に流れてコンとよ」と言った。首を傾げながら聞いていたが、有明海の環境は、山・川・海が一体となったものだと幼心に思ったのである。
また、肌感覚のなかにもいきている。
①アカギレが痛むと霜が降りる
②神経痛が痛むと雨が降る
天気予報で検索すれば、雲の動きなど直ぐ分る時代
少し時代遅れかも知れないが、有明海沿岸の先人たちは、人情味たっぷりの現代の予報士だったのである。
ラボ主任研究員
有明海を撮るカメラマン
北村 和秀
KAZUHIDE KITAMURA
PROFILE
1950年7月16日、佐賀市川副町生まれ。高校卒業後、1969年2月、株式会社サガテレビに入社
最初の配属先は技術で開局の準備に携わった。その後、鳥栖支局・情報センター・福岡支社・報道制作と異動。2004年10月に番組制作会社のSTSプロジェクトへ出向、取締役、常務、2008年に社長を就任。2012年6月に退任。現在、佐賀市道祖元町で妻と二人暮らし。映像カメラマンを目指し、勅使河原和風会でお花を習い、フジテレビなどで照明を勉強、報道写真の狙い方などを教わって40数年。時々、これまでの写真を公開している。性格は、シャイで小粋ではにかみ屋。内気で内股で短足と、良いところなし。それでも頑張る年金生活者。別に職はなく、佐賀県障害者サポートセンターを応援する会会長、NPO法人MOTTINAIプロジェクト理事、(株)オフィスタカハシ取締役相談役など名誉職に就く。
vol.1
民話「ワラスボが鯛に恋をした」vol.2
徐福さんと筑後川のアミ漁・エツ漁vol.3
ハートの瞳のムツゴロウさんvol.4
有明海の潮干狩りで出会った”海蝸牛”vol.5
先人たちの ”まえうみ天気予報”vol.6
まえうみ(有明海)は「生命の海」vol.7
海苔人日記「2016夏のクラゲ漁」vol.8
宝の海の海苔人日記・10月vol.9
宝の海の海苔人日記・11月vol.10
宝の海の海苔人日記・番外篇 ”さが海苔最高‼️”vol.11
有明海沿岸ではアカクラゲを食べる?vol.12
ヒゼンクラゲ(シロクラゲ)とビゼンクラゲ(アカクラゲ)vol.13
有明海に不思議な櫓(タワー)発見?!vol.14
干潟のなかの牡蠣礁~有明海は元祖”牡蠣の産地”