佐賀ならではの時間や空間の楽しみ方など、通りいっぺんの観光では味わえない濃い深い情報満載です!  PR隊長のはなわさんや優木まおみさんがディープな佐賀へと誘います。

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vol.1

今号の研究テーマ

「ぬる湯」のまち 佐賀

佐賀県佐賀市は、北は福岡県境の三瀬村から南は干潟の海有明海を持つ川副町まで、縦にながーい形をしている。海の幸や山の幸に恵まれ、旬の料理に舌鼓を打てるのも楽しいものだが、特筆すべきは古湯・熊の川温泉、三瀬温泉という名湯も有していることである。古湯・熊の川は歴史も古く、良質な湯が湧出しているので、地元の通い客の艶やかな肌をぜひご覧いただきたい。このラボでは、佐賀市の名湯「ぬる湯」について紹介していく。記念すべき創刊号は、温泉文化研究家の平尾茂さんの寄稿からスタートする。

 温泉王国九州というと湯けむりがたなびく別府や雲仙の温泉街や、最近女性たちに人気の湯布院、黒川などお洒落な温泉地のイメージが浮かぶかもしれないが、佐賀は知る人ぞ知る「ぬる湯」のメッカであり、その癒し、リラックス効果たるやおそるべし、かって幾多の文人、著名人も来訪、最近ではスポーツ選手や都会の若い女性たちにも人気のスポットとなっている。




 温泉は熱くないとね、と自負される温泉通もいると思うが、それは昔のこと。最近の温泉のトレンド、好みは泉温39℃以下の「ぬる湯」なのである。現代人はストレス社会に生きていて、パソコンやスマホに依存、リアルの人間関係を持つのが苦手と言われる。そうしたなか、ぬるいお湯に浸かり心身の緊張をほぐしゆったりくつろぐことで、ストレスを軽減し心と体を癒すことができるという。熱いお湯は気持ちを高ぶらせるが、ぬるいお湯は精神を落ち着かせるリラックス効果があり、現代人の健康に有効なわけである。


 「ぬる湯」は夏の暑い季節には冷たいシャキッと感が最高だし、長く入れてゆっくり体の芯から温まるポカポカ感も捨てがたい。新陳代謝を促し免疫力を高める効果も期待できる。
 佐賀が「ぬる湯」のメッカと言われるのは他でもない。2010年には全国ぬる湯サミットを佐賀市の古湯熊の川温泉で開催、全国に先駆けて「ぬる湯サミミット宣言」をしたからである。佐賀市北部の山間地には、古湯、熊の川、それに三瀬の三つの温泉地があり、森と清流に恵まれた豊かな自然環境の中で、「ぬる湯」を楽しむことができる。福岡の都心から車で一時間、長崎道佐賀大和インターからも約20分とアクセスも良く、気軽に「ぬる湯」を体験できる。それぞれの温泉地には、ホテルから旅館、日帰りの温泉までさまざまな施設があり、リーズナブルな共同湯からリゾート風の貸切湯、ちょっと隠れ家風の温泉まで揃っている。広い空とゆるい時間が流れる佐賀の温泉で、「ぬる湯」でリラックスしてみてはいかが。 写真と絵:平尾茂

ラボ研究員

温泉文化研究家

平尾 茂

SHIGERU HIRAO

PROFILE

1951年佐賀市生まれ。佐賀西高校、西南学院大学法学部卒業。2011年まで佐賀市役所に勤務。企画、文化、観光部門などに携わる。2016年3月まで同市社会福祉協議会富士支所長として勤務。温泉やお酒、佐賀の観光、まちづくりなどに関する執筆・講演活動、ラジオ・テレビにも出演。著書:「月の兎と行く九州100温泉」(海鳥社)「温泉達人とドクターが選ぶ九州の安心貸切湯」(西日本新聞社)「佐賀酒ものがたり」(西日本新聞社)。佐賀市在住。