佐賀ならではの時間や空間の楽しみ方など、通りいっぺんの観光では味わえない濃い深い情報満載です!  PR隊長のはなわさんや優木まおみさんがディープな佐賀へと誘います。

SAGA MAGA

メニュー

vol.6

今号の研究テーマ

湯めぐり美肌紀行 #3 ”旅館 扇屋”

斎藤茂吉が寛いだ客室に歴史を感じる静かなお宿

 ぬる湯 湯めぐり紀行、今回は古湯温泉 旅館 扇屋を訪ねてみた。佐賀市街から国道323号線を走行、古湯温泉入口から石畳の道に乗り、案内札に従って右折すると、突き当たりに扇屋がある。玄関に立つと、歌人斎藤茂吉の肖像写真と短歌が目に入ってくる。



 ここは、歌人斎藤茂吉が自身の病気療養のために訪れた場所として知られている。当時は、本館のホールにあたる場所に離れが建っており、全面改装時に、欄間や柱などの資材を再利用して、川に近い場所に移して客間を建て直した。築年を重ねるごとに客室の若さは失われているものの、今でも「斎藤茂吉ゆかりの離れ」として文学ファンにとっては放っておけない神聖な部屋なのだ。当代の江頭さんも語り継いで聞いた話として斎藤茂吉のゆかりを話してくれた。


扇屋主人 江頭宏一さん


「聞いた話ですが、茂吉さんはヘビが苦手だったそうで、お泊りの部屋の軒先にヘビが出た時は、隣のお部屋に移られたという話があります。茂吉さんゆかりの部屋の欄間は、一部破損しています。虫や蛇が部屋に入ってきた時に、仲居さんが棒などで退治して欄間を傷つけたらしい、という話ですが、茂吉さんとの関わりをなくさないよう、修復せずにそのままにしています」



 浴場は男女各1の内湯がある。嘉瀬川の清流に向かってガラス張りになっており、男湯は開閉可能なカーテンが、そして女湯は外から葦簀がかけられており、山の景色を眺めながらほっこりと入浴できる。温泉は、古湯で4つある源泉のうち徐福泉を引いており、源泉の温度は40度くらいだが、パイプを通じてお湯が宿に来る間に若干温度が下がる。浴槽は、源泉を沸かした湯とその湯が自然に隣の浴槽にいきわたり心地よい温度になっているので、2つの湯温が楽しめる。


女風呂

男風呂


 丸いタイル張りの浴槽がレトロで可愛らしい印象。アルカリ性単純泉の湯はpH9.5という驚きの数値を誇る。湯の肌触りは若干のぬめりを感じ、皮膚を優しく包まれているような感触がある。ぬるい湯温の浴槽に浸かっていると何十分でも浸かっていられる。別段暑い日でもなかったが、低体温気味の担当でも、湯上りに汗が次から次へと出てきて、代謝が活発になったのを実感でき、活力をもらったような気がした。新しさばかりが魅力ではない!そんなことを気づかせてくれる、心和む温泉だった。



旅館 扇屋
住所:佐賀市富士町古湯873
電話:0952-58-2121
宿泊料金:(1泊2食)10,800円~

【入浴情報】
< 日帰り入浴> 11:00~16:00
< 入浴料> 大人700円、子ども350円

◎バリアフリー情報:バリアフリートイレなし、玄関スロープなし
補助が必要な時はスタッフまで


【古湯温泉の泉質】
アルカリ性単純泉(低張性アルカリ性温泉)
無色、無臭、無味、水素イオン濃度PH9.41、高いアルカリ性を示す肌触りのやわらかい、肌への刺激が少ない温泉。ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ヒドロ炭酸イオン、硫酸イオン、塩素イオン、ヒドロメタ珪酸イオン、その他多数のイオンを含む。

◆療養泉の一般的適応症(浴用)
神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え性・病後回復期・疲労回復・健康増進
◆泉質別適応症(浴用)
痛風・動脈硬化症・高血圧症・慢性胆嚢炎・胆石症・慢性皮膚病・慢性婦人病
◆泉質別適応症(飲用)
痛風・慢性消化器病・慢性胆嚢炎・胆石症・神経痛・筋肉痛・関節痛

SAGAMAGA編集長

さが酒&ぬる湯愛好家

庄島瑞恵

MIZUE SYOUJIMA

PROFILE