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vol.11

今号の研究テーマ

湯めぐり美肌紀行 ♯8 元湯 熊ノ川浴場

湯の適応を信じて通い、病状が緩和した女性と出逢う、長湯の功。ぬる湯ラボで、源泉のまま、源泉を加温して、といったぬる湯を巡ってきたが、今回は、熊の川温泉の代名詞ともいえる歴史長い湯を紹介しよう。

 今回訪れた湯は「熊ノ川浴場」。熊の川温泉街の中で最も古い歴史を持つ浴場で、熊の川に3つある源泉のうち、荘源泉という名前の源泉を持つ。湯温については、これから実況レポートすることとしよう。


味のある受付、趣のある脱衣場


 実は、この元湯に入るのは随分と久しぶりのことだった。しかし、変わらぬ佇まいと受付で出迎えてくれた大女将の笑顔に心が和む。受付から女湯までは難なくクリアできた。脱衣場には、コイン式のロッカーと脱衣棚がある。失くしては困るものを持っていたらコイン式ロッカーを利用したらよい。


受付(番台)には、温泉でお肌すべすべの大女将が

 オープン直後の入浴ではあったが、既に複数人の声が浴場から聞こえる。恐る恐る扉を開けると、大大大先輩方が三つあるうちの片方の浴槽に浸かっていらっしゃる。「おはようございますー」と挨拶をした後、蛇口の湯を出して、スムーズに浴槽に入りたかったが、行動停止。蛇口がどれも黒くて、どこから湯がでるかわからないのだ。明らかに戸惑っている体でキョロキョロしている私に、一人のご婦人が浴槽から飛び出てきて、蛇口について説明してくれた。


洗面所の蛇口からも源泉がでているという貼り紙が。思わず入湯前に手を洗い、源泉を体感した


 「この黒いのはね、加温していないままの温泉がでるから、熱くないよ。熱いのが出るのかこの蛇口だけよ」。その数1つだけ。これは、初めてだと教えてもらわないと分からないことだなー。


ぬるい! ぬる過ぎる! これに慣れるとクセになる!


 ご婦人は入り方まで教えてくれた。「あのね、私たちが入っているのが正真正銘の源泉よ。入ってみんしゃい。そして、あの小さか浴槽が源泉を少し沸かしたお湯やけん、交互に入って身体を慣らしていくといいよ。あそこでいきなり源泉に浸かったらびっくりするお客さんもおんさっけんね」。怖いもの見たさもあり、最初は、加温を全くしていない源泉の中に身体をつけてみた。足から腹部まで来てから、身体が動かない。ぬるい! ぬるくてすぬるくてたまらないのだ!それもそのはず、源泉のままというから31、2度くらいだろう。 


 思わず首をすくめて、凍えるポーズをとっている自分がいたが、それでもエイッと腹部、胸部、首までつかる。すると、湯の中に浸かっている部分が次第に、湯温に慣れてきて、身体を覆う湯のぬめりや軟らかさに思考がはたらく。10分ほど入って、加温された浴槽に移動してみた。加温して40度くらいか。気持ちいい湯温だが、これまた数分入っていると、源泉のままのあの感触が恋しくなり、またご婦人方が集う浴槽に戻る。2セットほど繰り返したころ、血行がけっこうよくなっているような気になってきた。


館内入って右手にある休憩処。弁当持参で数回に分けて入湯することもできる


常連さんの入浴ガイドあっての「ぬる湯」


 源泉のままの浴槽ゆえに、どうしても入湯時間が長めになってしまう。そんなことも予測して文庫本を持参していたが、ここでは不要だった。このお湯に関する話が尽きないこと、尽きないこと! 「私はね、諸富からだけど、もう27年くらい通ってるの。腎臓が悪かったけど、週に3回、朝から半日、間に昼食をはさんで療養に来ていたら改善されて良くなったのよ」。他のご婦人も口々に湯がいかにいいかを語ってくれる。「1時間じゃだめよ。2時間~3時間は浸からないとネ。でもね、私たちのように、お湯のことを言う人がいないと、『ぬるい! 温泉じゃないじゃないか』って湯の良さを知らずに帰る人もいるの」と言う言葉には、この浴場に末永く営業を続けてほしいという願いも込められている。


入浴客は大人一人につき温泉水10リットルまで無料


「長年、お湯を愛してきてくださる方がいる限り、続けていきたいとは思うけど、本当に私もこんなに歳がいって、建物もボロくなってきてねー」と大女将の鵜池さん。それでも、熊の川温泉の「顔」として、湯と浴場ともに湧き続けてほしい。



熊の川で最も古い歴史を持つ源泉掛け流しの大衆浴場。温度の違う 3 つの浴槽を使い分けての入浴がおすすめ。

源泉名:熊の川温泉 熊の川荘源泉
泉質:アルカリ性単純弱放射能泉
泉温:30.8度


<元湯 熊ノ川浴場>
住 所:佐賀市富士町上熊川118
営 業:9時30分~20時30分(11月~冬季間は変更)
駐車場:15台
TEL:0952-63-0021

定休日:第1・3火曜(冬季は毎週火曜)
料 金:入浴時間によって違うのでご注意を
9時~ 大人700円、小人300円、15時~ 大人500円、小人200円、17時~ 大人300円、小人100円
※レストランなし(出前、持ち込み可)

SAGAMAGA編集長

さが酒&ぬる湯愛好家

庄島瑞恵

MIZUE SYOUJIMA

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