佐賀ならではの時間や空間の楽しみ方など、通りいっぺんの観光では味わえない濃い深い情報満載です!  PR隊長のはなわさんや優木まおみさんがディープな佐賀へと誘います。

SAGA MAGA

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vol.1

今号の研究テーマ

佐賀んもんのソウルスイーツ
『まるぼうろ』食べ比べが実現!

SAGAMAGAラボのひとつ「うまかもん&シュガーロードラボ」は、やはり、この話題から。それは・・・「まるぼうろ」である。佐賀で生まれ育った人々にとってまるぼうろとはどんな存在なのか。その実態と、まるぼうろ最新事情を探っていく。

 佐賀んもんにとっては、物心ついた頃には手にとり、パクッ、パクッと口にしていたまるぼうろ。その起源は諸説ある。焼いた菓子のことをポルトガル語で「ボーロ」と呼んだことが語源となったという説や、「東方見聞録」で日本を旅したマルコ・ポーロにちなんでつけられたという説。たどっていけば、発祥はポルトガルの菓子に発しているという情報が有力である。しかし、元来のポルトガルの菓子は、日本のまるぼうろより硬く、クッキーのような食感だったらしく、菓子の製法が上陸した後、国内で現在のようなまるぼうろになっていったとされている。

 佐賀でまるぼうろがつくられるようになった所以も大筋は二説ある。佐賀の菓子のことを詳細に研究、紹介した「肥前菓子」(村岡安廣氏著)によると、佐賀市の伊勢屋町にある御菓子司・横尾家の祖先が長崎でオランダ人から製法を学んだのが始まで、北島・香月家がこれを習い、現在のまるぼうろの形になっていったという説である。もう一つの説は、十七世紀、1639年、佐賀鍋島藩の御用菓子屋として、元々は武士の家柄だった黒川善右衛門が店を構え、菓子作りに励むうちに藩の御用菓子を任されるようになったという。佐賀んもんにとっては、二つの説を後世まで語り継いで、まるぼうろ文化佐賀を残していきたいものである。
 佐賀の伝統菓子、まるぼうろを語ろうと思えば、何時間もかかり、何枚もの原稿を要するほどにストーリがあるので、ここでは、蘊蓄じみたことには触れずに、現代の人々にとってのまるぼうろの存在感を語っていきたい。
SAGAMAGA編集部で20代から50代まで20名の市民にまるぼうろについて尋ねてみたところ、まるぼうろは、市民それぞれに想いがあることがわかった。

【50代】
お客様がいらっしゃる時のお茶菓子、お呼ばれして訪問する時のお土産、いただきものしたら嬉しいお菓子。いいお茶と一緒にいただきたい特別なおやつ。

【40代】
家によくあった。贈答にしたり、いただいたり。仏様によくお供えしてあった。朝食、おやつによく食べていた。

【30代】
好き。おやつに食べていた。佐賀のお土産として利用する。

【20代】
佐賀といえば丸ぼうろというイメージがある。祖父母の家にあった記憶がある。まるぼうろ、好きです。

 まるぼうろのことを語るなら、佐賀市内のまるぼうろをまずは食べてみなくちゃあ始まらない(別に食べなくても語れるのだろうけど)。百聞は一見に如かず。佐賀の銘菓「まるぼうろ」に密着してみようではないか。なんのトッピングもなく、シンプルな形状をした菓子なのに、この菓子は全国的にも佐賀だけでたくさん食べられているという不思議。
 長崎の銘菓といえばカステラ。カステラの原料は卵、小麦粉、砂糖。そして、まるぼうろの原料は? 同じである。まるぼうろは、SAGAMAGA編集部調べでは、佐賀市内12件の菓子屋で製造されていることがわかった。今回は、菓子組合青年部に協力していただき、9つのまるぼうろを食べ比べすることができた。

★ありそうでなかったまるぼうろ食べ比べセット
神埼〜佐賀〜小城を結ぶシュガーロード食べ比べ

食べ比べした9種



・鶴屋菓子舗
品名 丸房露
原料 小麦粉、砂糖、卵、蜂蜜、トレハロース、重曹



・和洋菓子司 古川
品名 丸ぼうろ
原料 小麦粉、砂糖、卵、蜂蜜、水飴、ふくらし粉



・風月堂
品名 のりぼうろ
原料 小麦粉、砂糖、鶏卵、蜂蜜、海苔、膨張剤



・菓心まるいち
品名 丸房露
原料 砂糖、小麦粉、卵、蜂蜜、ミルク、生クリーム、重曹



・本村製菓株式会社
品名 がばい佐賀黒砂糖丸ぼうろ
原料 小麦粉、砂糖(加工黒糖、上白糖)、鶏卵、ぶどう糖、蜂蜜、水飴、ソルビトール、ベーキングパウダー、カラメル色素



・大串菓子舗
品名 ひしぼうろ
原料 卵、砂糖、小麦粉、澱粉、蜂蜜、水飴、菱の実外皮、膨張剤、ぶどう糖、ごま油



・八頭司伝吉本舗
品名 佐賀銘菓 丸ぼうろ
原料 小麦粉、砂糖、鶏卵、蜂蜜、水飴、膨張剤



・村岡総本舗
品名 丸ぼうろ
原料 小麦粉、砂糖、卵、蜂蜜、水飴、粉末油脂、みりん、膨張剤(原材料の一部に乳を含む)



 原材料が微妙に違うところが興味深い。似ているけど味はそれぞれ違う。食べなれた味は、見つけられるのではないだろうか。それぞれを食べ比べしてみた。


 南蛮菓子の文化は、長崎街道を通じて特に肥前(佐賀)で大きな影響を受けている。砂糖は、高級な原料であったため、取り扱いは薬屋か教会が中心に行っていたという。佐賀県に属する長崎街道のうち牛津―佐賀―神埼と三つの宿が関わっているまるぼうろが結ぶシュガーロードの歴史に思いを馳せながら食べ比べてみてほしい。

 SAGAMAGA編集部では、めったにできない9種食べ比べ会を開催。4人のパーソナリティに利きまるぼうろしてもらった。
 自身が食べ慣れたまるぼうろは、絶対にわかるはず!と豪語していたパーソナリティ陣。果たして結果は???
「なーん、わからーん!」
「こいこい(コレコレ)、こいがいつも食べよるまるぼうろバイ」
「難しかー!!」
 手描きのマス目にまるぼうろの種類を記入してもらったが、全問正解者は、ゼロ。
 特徴のある黒糖ぼうろは正答があったものの、他の回答はてんでバラバラ。味覚や記憶の曖昧さが浮き彫りとなった。
 包装紙や名前に左右されないブラインドでの食べ比べで、単純に気に入ったまるぼうろというのも発見できたらしい。

 さて、この9種、内輪だけで盛り上がってそれで終わりではない。なんと、創刊に合わせて「丸ぼうろ食べ比べセット」の販売が決定したのである。これまで、食べ慣れた丸ぼうろ以外に、違う店の丸ぼうろが食べられるなんて!!! テンションが上がっているのは編集部だけ?? いやいや、丸ぼうろを食べて育った人々には嬉しいことに違いない。お土産に、自身のおやつ用にと、用途は広がるばかりである。
 佐賀の菓子組合の皆さんの協力によって実現できたこのセット、まるぼうろのまち佐賀ならではの世界感を発信すべく、一人でも多くの人々に食してみてほしい。



佐賀まるぼうろ食べ比べセット
1,000円(税別・9個入り)
※当サイトより購入できます。